「やる気が上がる8つのスイッチ」の内容要約|マネジメントに使えるのか
『やる気が上がる8つのスイッチ~コロンビア大学のモチベーションの科学~』という本があります。この本について内容を要約と活用法をご紹介します。
どのような人に向いている本か
この本は、自分の業務のモチベーションよりも、部下のマネジメントに悩んでいる方にとって役に立ちそうな印象です。この部下はどのタイプなのでどう接するとよさそうかを見極めるとよさそうです。もちろん、自分で自分がよくわからないという方には、自分のタイプを知りながら、弱点克服や強みの克服にも使える部分があると思います。
著者の紹介
『やる気が上がる8つのスイッチ』の著者は、ハイディ・グラント・ハルバーソン(Heidi Grant Halvorson)。訳は村田レジリ浩文です。ハイディ・グラント・ハルバーソン氏は社会心理学者でコロンビア大学モチベーション・サイエンス・センター副所長。ほかにも著書に『やりぬく人の9つの習慣』『やってのける』『だれもわかってくれない』などがあります。
途中で気づいたのですが、この方、女性なんですね。優しい語り口で妙に脱線することもなく読みやすい文章でした。おそらく訳された方もよかったのだと思いますが、英文を読んでいる感じがあまりしませんでした。
書籍の概要
価格
1300円(定価)に消費税
ページ分量
125ページ。軽めの紙で文字も行間が適度にあり、通勤時に持ち歩いても苦痛にならない重さです。
文体
ですます調です。
章立て
章立ては以下のようになっています。
- 序章:やる気を上げる方法は1つではない
- 第1章:2つのマインドセット
- 第2章:やる気のフォーカス
- 第3章:自信は必須の要素
- 第4章:やる気から見た8つのタイプ
- 第5章:すべてのタイプに共通する処方箋
内容要約
それでは内容をご紹介します。ここではネタバレも含みますが、ビジネス書の場合には、自分に役立つかどうかを判断して購入するものと考えています。買ってから自分にとっては期待外れにならないようにするために、紹介しますね。
1)自分にとってやる気が出る方法は、相手にとってやる気が出るとは限らない
相手のタイプを理解して、やる気を出すアプローチをしましょうということです。
2)考え方の癖となるマインドセットは大きく分けて2つある
「証明マインドセット」「成長マインドセット」の2つがあります。証明マインドセットを持つ人は自分の能力を人に見せつけ認めさせようとするタイプです。一方、成長マインドセットは自分が向上することに焦点を当てています。要は「自分がすごい人と思われたい」「すごい人になりたい」による違いです。
なおグロービス経営大学院によれば、マインドセットとは以下のような意味を指します。
マインドセットとは、経験、教育、先入観などから形成される思考様式、心理状態。暗黙の了解事項、思い込み、価値観、信念などがこれに含まれる。
参照: マインドセットとは・意味|MBAのグロービス経営大学院
3)「成長マインドセット」のほうが有利に働く
この著者の実験によれば、「証明マインドセット」よりも、「成長マインドセット」のほうが、明らかによい結果につながりました。必ず二分されるわけではなく、何らかの理由でどちらかに傾くこともあります。
いずれにせよ、「証明マインドセット」寄りの考えだと自覚している方は、マインドを変えたほうがよさそうです。
4)やる気を出すためのアプローチは「獲得フォーカス」と「回避フォーカス」に分かれる
やる気を出すためのアプローチ方法は「獲得フォーカス」と「回避フォーカス」の2つがあります。前者は称賛を得たい人で、後者は批判を回避したい人です。部下や周囲の人がどちらに属する考え方なのかがわかれば、やる気の出し方のアプローチが変わってくるでしょう。どちらが悪いわけではありません。自分の持ち味で勝負するとよさそうです。
5)自信は目標を達成するために必要な要素
自分で自分が目標を達成する力があると信じることで、「自己効力感」と呼ぶ人もいるようです。
6)やる気から見た8つのタイプ
8つのタイプを図表にしてみました。
タイプ名 | マインドセット | フォーカス | 自信 |
---|---|---|---|
中二病 | 証明 | 獲得 | 自信はなく不安定 |
うざいやつ | 証明 | 獲得 | 自信あり |
臆病者 | 証明 | 回避 | 自信はなく不安定 |
退屈な人 | 証明 | 回避 | 自信あり |
やる気の空回り | 成長 | 獲得 | 自信はなく不安定 |
まじめな見習い | 成長 | 回避 | 自信はなく不安定 |
新星 | 成長 | 獲得 | 自信あり |
熟練の匠 | 成長 | 回避 | 自信あり |
これまで触れてきた「マインドセット」「フォーカス」「自信」の3つの軸のかけ合わせで8つに分けられます。それぞれのタイプごとに説明と、解決策が触れられています。
どうやら望ましくないタイプもあるようです。ちなみに私は「やる気の空回り」かなあ。「新星」などと名付けられたキラキラな方がうらやましいです。
7)マインドセットから変え、自信とスキルをつけ、自信を発揮させる場をつくる
マインドセットがもし、「証明マインドセット」であれば、「成長マインドセット」にシフトする必要があります。自分であれば何とかできそうですが、他人の場合は難しそうです。
そのうえで、OJTなどを通じて自信とスキルをつけます。
最後に自信を発揮させる場をつくります。これは各タイプにあわせた対処が必要そうです。
まとめ
個人的おすすめ度:★★★☆☆
やさしい語り口で分かりやすいです。すっきりと整理され、若手の社会人やマネージャーになりたての方にはおすすめです。ただ、内容はこの8つのタイプの話だけです。このお値段なのでまあ満足ですが、少し内容が薄く感じてしまったところはあります。
興味あればぜひ手に取って見てみてください。
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やる気が上がる8つのスイッチ コロンビア大学のモチベーションの科学
- 作者: ハイディ・グラント・ハルバーソン,林田レジリ浩文
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2018/05/24
- メディア: 単行本
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