kichitanu’s blog

気弱人間のお仕事と本と現実逃避

「たった1日でできる人が育つ!「教え方」の技術」要約・レビュー

「たった1日でできる人が育つ!「教え方」の技術」という本について、要約と感想・レビュー、向いている人などを紹介します。

 

どのような人に向いている本か

教えることが下手、説明が下手だなと思っている人

部下や後輩がなかなか仕事を覚えてくれない、できるようにならない人

若手への教え方を知りたい人

 

著者の紹介

著者は「齋藤 孝」(さいとう たかし)氏です。著書では「声に出して読みたい日本語」がよく知られているのではないでしょうか。他にも「折れない心の作り方」「学校では教えてくれない日本語の授業」など、さまざまな人気の著書を生みだされている方です。

東京大学法学部を卒業し、明治大学文学部教授を務めています。専攻は教育学、身体論、コミュニケーション論です。

 

書籍の概要

価格

1200円(定価)に消費税

 

ページ分量

188ページ。軽めの紙で文字も比較的大きく、通勤時に持ち歩いても苦にならない重さです。

 

文体

ですます調です。

 

写真やイラスト/図解

図やイラストはありません。

 

章立て

第1章 「教え方」5つの基本スタンス

第2章 何をどう指示するか

第3章 教える重点ポイントは「段取り」

第4章 「褒める」ことが大切

第5章 部下の本機を育てる

第6章 「教える」効果がアップする方法

第7章 ミスを次につなげるコツ

 

内容要約

ここではネタバレも含みますが、ビジネス書の場合には、自分に役立つかどうかを判断して購入するものと考えています。買ってから期待外れにならないように、ざっくりと紹介しますね。

 

贔屓や比較は厳禁。丁寧語でいつも一定に感情を保つ

今は先輩風を吹かすことは通用しません。後輩だろうが新入社員だろうが、すべて丁寧語を使い一定の強度に保ちます。若者は人との比較は厳禁です。「ゆとり世代」などと、若者扱いをするのもいけません。

 

全体像を簡潔に、できるだけ具体的に教える

教え方は最初に全体像を簡潔に伝えたのち、できるだけ具体的に指示を出します。一部を教えて察してくれではなく、すべてを教える必要があります。今の時代はここは過保護といわれるくらいでもいいようです。

 

詰め込みすぎずに優先順位をつけて順番に期間を設定しながら教えていきます。いつまでに何ができるようになるのかを明確に決めるということです。

 

こちらからの説明は優先順位をつけ、1分で終わるように努力することも教え上手の第一歩です。

 

指導内容を編集し、3段階にまとめる

すべてを教える必要があるとお伝えしましたが、教え方は数が多すぎると混乱を招きます。そのため3段階くらいにまとめたほうが記憶にとどまりやすいようです。つまり教えようとすることを分解・整理し、幹の部分だけを残して伝えることになります。事前に編集をしておく必要があります。もし複雑な業務なら分解して教えたり、1つをマスターした後に次を教えたりするという方法もあります。

 

フィードバックは具体的に数値で

教えた結果をしっかり把握し、フィードバックしていくことも大切です。そのための報告は「どうだった?」「たいへんでした」というやりとりではなく、どのくらいの比率でどんな反応が出たのかを印象ではなく数値で語ってもらうこと。具体的な事例で語ってもらうこと。決して叱らずに新たなミッションを見つけます。現状がどうなっているのかを確認するように促します。

 

段取りを確認する

仕事の依頼をする際にはどういう段取りで進めるつもりか、あるいはどういう段取りで進めたのかを確認します。つまづくポイントがわかり改善しやすくなります。段取りを改善し、整えることが上司の仕事です。

 

フォーマットを用意する

報告のフォーマットを用意するのも、有効な手段だそうです。

 

「もっとここの精度をあげて」がマジックワード

まずは全体像やできた部分を褒める。そのうえで「この部分の精度をもう少し上げよう」といういい方であれば気分よく修正してくれるようになります。自己評価が低く承認欲求が強い今の人に合わせた指示の方法です。

 

ここに紹介したものもほんの一部ですが、それでも役に立ちそうだと感じた人もいるのではないでしょうか。

 

感想

個人的おすすめ度:★★★★☆

 

ちょっと驚いたのが現在60代になる方なのですね。普段から学生さんに教えているだけあって、これからの社会人の教え方に精通している方だなと思いました。私は今30代(アラフォー)ですが、どうやら私の教え方は古く、カスタマイズする部分があるように思いました。

 

冒頭のこの言葉にどきっとしました。「根底にあるのは教えることは業務外のサービスであるという意識ではないでしょうか。だとすれば、明らかに時代を読み間違えています」

私はどうやらこの意識があり、教えることにかける時間を減らそう、自分で見て学んでほしいので資料を渡して事前に読んでもらい質問があればしてほしい、といったスタンスがありました。

 

しかし、齋藤氏によれば、「今はもう新人が見て覚える時代ではない」ということです。

今は仕事の種類が増えたうえに「丁寧に教えてほしい」という若い人が増えたので、効率よく細やかに教えることが求められます。それを業務として、義務としてやることになります。

 

一方で自分ばかり教えることを抱えてしまい、教える循環をつくることができていません。自分が丁寧に手取り足取り教えてこなかったツケが今来ているようにも思いますし、同じように教えることは「自分の義務ではない」と感じる従業員が多いことも影響しています。それならば教えるカリキュラムをつくるという解決策を確立するしかないのだろうと思います。

 

教えるを丁寧に解説した本で、今私にとってとても必要とする情報が多いものでした。教えるためのバイブルになりそうな本でした。本当におすすめです。