「35歳の教科書」の内容要約|今から始める戦略的人生計画には修正主義が必要
「35歳の教科書~今から始める戦略的人生計画」という本があります。この本についての感想と要約、向いている人などを紹介します。
どのような人に向いている本か
この本は、独立したい人、自分の特技を生かしたい人、組織の中で勝つことに疑問を持っている人に向いているのではないかと思います。35歳という年齢もあるように、若手よりは30代から40代くらいまでの方に響く内容だと思います。
著者の紹介
「35歳の教科書~今から始める戦略的人生計画」の著者は、藤原和博氏です。東京大学卒業後、リクルートに入社し、東京営業統括部長、新規事業担当部長を勤めたのち、ヨーロッパに駐在し、リクルートのフェローに。
一転して、2003年から杉並区立和田中学校の校長になるという経歴の持ち主。都内では初の民間校長に。橋下府知事の時期に大阪府の特別顧問も務めている。
書籍の概要
価格
952円(定価)に消費税
ページ分量
235ページ。軽めの紙で文字も比較的大きく、通勤時に持ち歩いても苦にならない重さです。
文体
ですます調です。口語のような語り口で読みやすいと思います。
写真やイラスト/図解
図は1冊の本の中で3点ほどです。ほとんどありません。イラストも出てきません。
章立て
章立ては以下のようになっています。
- 第1章:なぜ、人生に戦略が必要なのか?
- 第2章:戦略的ライフプランニングのすすめ
- 第3章:戦略作成の基礎は、クリティカルシンキング
- 第4章:自分だけのキャリアが身を助ける
- 第5章:つなげる力で仲間を増やす
内容要約
それでは内容をご紹介します。
1)正解主義で生きる成長社会の終焉
20世紀は成長社会でした。そのため、国が方針に従ってみんなが同じ方向を目指す正解主義の社会でした。終身雇用の会社の中で年功序列で給料も増えていく代表的なライフプランニングがありました。成長社会の日本は、会社や国にライフプランを任せておけばよかったので、個人の人生戦略なんて必要なかったのです。しかし今、成長社会は終わり、成熟社会に進んでいます。
2)これからのスキルにはクリティカルシンキングとプレゼン技術が求められる
成長社会で重視されたのは正解を導き出す力でした。これから求められるのは納得できる解を導きだす力です。PISA型学力と言われるもので、数学的リテラシー、科学的リテラシー、読解力が求められます。これからを生きる人に必要不可欠なものを、「クリティカル・シンキングを中心とした論理的思考」と、「相手の意見を聞きながら自分の意見を取り入れてプレゼンテーションをする技術」と伝えています。
3)どうすれば高められるのか
相手を知り共感すること、そのまま素直に受け入れすぎず批判的に物事を見ること、なりたい自分を演じて強くなり、ディベートで自分を鍛えることなどが挙げられています。PDCAサイクルではなく、DADADAの無限サイクルがよい。一つ実行したら3回修正してみる「修正主義」で取り組むのが大切だそうです。
4)これから取り組むべきこと
自分の技術とは何なのかを考え、自分自身と向き合って考えてみること。会社以外に打ち込めるものを見つけること。これからの時代は2つ、3つのテーマを混ぜることも視野に入れることも大切と述べています。自分のテーマを何個かに絞って取り組んでいくのがよさそうです。とくに25歳から35歳までの10年間はどのフィールドでどれくらい練習量を積むのかが今後を左右していきます。練習量を生かして、今後のテーマに取り組んでいくため、35歳という年齢をタイトルに入れたのでしょう。
ほかにも生活態度のリストラ、仕事のリストラ、地域とのつながり、組織内自営業、夫婦はなるものではなく「する」もの、など面白い表現がさまざま登場します。
個人的感想
個人的おすすめ度:★★★★☆
2009年に発行されたちょっと古い本です。編集的な原稿の構成はもう少し編集による工夫の余地があったのではないかと思う部分もあります。行ったり来たりする感じがあるためです。しかしながら著書の方が自分の言葉で語っているのが分かり、プレゼンのうまさも手伝って響く内容です。よくある自己啓発本とは毛色の違う本で、押しつけがましさもありませんし、転職についても触れていません。正解を示しておらず、これからの社会の方向性と、磨くべき思考や自分で決めるべきことを伝えているだけで、あくまで読者に行動をゆだねる形となっています。
個人的には一度は30代の方に読んでもらいたい本だと思います。ぶっちゃけ私、35歳超えてます。35歳超えても読んではいけない本ではありません。ご安心ください。
kindleなら200円以下で購入できるようです。