「リーダーのための!コーチングスキル」要約・レビュー
「リーダーのための!コーチングスキル」という本について、要約と感想・レビュー、向いている人などを紹介します。
どのような人に向いている本か
この本は部下や後輩の育成に悩んでいる人やコーチングについて知りたい人に向いています。特に自分で何でもできてしまい、部下や後輩がついてこないという“できる人”にこそ、向いているのではないかと思います。
コーチングとは
著者によると、「コーチングとは、ひと言でいうと「引き出す」コミュニケーションです。「引き出す」とは、働きかけて、隠れているものを表に出すこと。相手から、気づきや行動を引き出し、変化と成長を促すために、しっかりと「聞く」姿勢が、コーチングの基本です。」とのこと。
ここまで読んでめんどくさいと思う方もいると思いますが、もし自ら動かない部下、自分が動かないと回らないなどとお悩みの人には一読の価値はあります。
引用:「リーダーのための!コーチングスキル」7ページ
著者の紹介
著者は谷 益美(たに ますみ)氏です。Office123の代表で、香川大学卒業後建設省者の営業職、IT企業営業職を経て2005年に独立。早稲田大学ビジネススクール、岡山大学非常勤講師も務めています。NPO法人国際コーチ連盟日本支部顧問、NPO法人日本コーチ協会四国チャプター相談役でもあります。ビジネスコーチ・ファシリテーターのプロでコーチを育てている方です。
著書に「タイプがわかればうまくいく! コミュニケーションスキル」「コーチングにおける重要度の理解と実践の認知」などがあります。
書籍の概要
価格
1500円(定価)に消費税
ページ分量
270ページ。軽めの紙で文字も比較的大きく、通勤時に持ち歩いても苦にならない重さです。
文体
ですます調です。
写真やイラスト/図解
図やイラストは基本的にありません。ただ巻末資料としてソーシャルスタイル診断判断チャート、問診票、GROWモデルワークシートなどの図表が載っています。
章立て
- プロローグ 人が育つところ、コーチングあり
- 第1章 これがリーダーのための! コーチングスキル
- 第2章 相手の心を動かすコーチングマインドとは?
- 第3章 まずは基本の「聞く」スキル
- 第4章 気づきを促す「質問」のスキル
- 第5章 相手に響く「伝える」スキル
- 第6章 ケーススタディ「GROWモデル」2つのコーチング
内容要約
ここではネタバレも含みますが、ビジネス書の場合には、自分に役立つかどうかを判断して購入するものと考えています。買ってから期待外れにならないように、ざっくりと紹介しますね。
コーチングとは「引き出す」コミュニケーション
コーチングとは会話を通して、相手のやる気や考える力を引き出すこと、そして自発的な行動を促し、相手の成長を支援すること。これによって自律した人材が増えていくという仕組みです。コーチングには「聞く」「質問する」「伝える」3つのスキルが必要です。仕組みを整えて継続できるようにスキル発揮し続ける場も必要となります。
自分の悪癖に気づこう
まずは話したいと思われるための関係性が素地となってきます。自分の悪癖に気づきましょう。
4つの「GROWモデル」について知ろう
コーチングでは有名な手法のようです。こちらを核にして記録していくのがよさそうです。
1.Goal「理想の未来」を明確にする
2.Reality「現状」を明確にする
3.Opsions「行動の選択肢」をリストアップ
4.Will 実行への「意志」を確認する
4つのソーシャルスタイル
メンバーとリーダーには大きく4つのソーシャルスタイルがあります。相手にあわせた適格なアプローチが必要です。私は典型的な「エミアブル」でした。
聞くスキル・質問のスキル・伝えるスキル
聞き出すための位置、アイコンタクトなどのスキルなど聞くスキルについて実践的な具体例をもとに細かく書いてあります。
質問のスキルは特に重要。質問するのはあくまでも相手のため。気づきはすべて「相手の中」にあります。とっさに使えるフレーズとして、「具体的に言うと?」「例えば?」「他には?」を活用します。
伝えるスキルは「伝わるように伝える」こと。自分の話に「タイトル」と「ナンバー(いくつ要素があるのか)」を振って予告しましょう。これは結局は事前に話すことを整理するための自分の訓練になります。フィードバックは反省してもらうよりまずは改善。そのために事実ベースでフィードバックをし、原因を特定することが重要です。
感想
個人的おすすめ度:★★★★☆
人の考えを変えることはできない。人を変えるなら自分を変えるほうが先。自分のアプローチを変えることによって、人の動き方が変わることはあるが、考えは変えられない。これが私の基本スタンスでした。
この本ではアプローチの方法を紹介しており、一見、部下の行動や考え方を変えることに働きかけているように見えます。しかしながら接するリーダー側のアプローチに問題があるケースが多く、それを改善するためのスキルと思いました。自分で学ぶことにかける時間は長い人が多いものの、誰かに教えるスキルが磨かれている人は日本人には特に少ないのではないでしょうか。
意外だったのは第6章に出てきた部下から上司に対するコーチングの事例。コーチングとは上司からするものだと思っていましたが、大概にして上司に問題があるケースが多いものです(私も含め)。しかしそれをあきらめて不満を言うのではなく、コーチングする方法があるのだなというのはよい気づきとなりました。