kichitanu’s blog

気弱人間のお仕事と本と現実逃避

「物語でよむアドラー心理学」の内容要約|自由を得るためには、嫌われる勇気が必要

「物語でよむアドラー心理学」という本があります。この本について内容を要約と活用法をご紹介します。

 

どのような人に向いている本か

この本は、現在の仕事において人間関係に悩む方におすすめしたい本です。周りに合わせる人、お人よしな人、過度に悩みすぎてしまう人、クライアントから仕事を引き受けすぎてしまう人などが向いていると思います。

 

著者の紹介

「物語でよむアドラー心理学」の著者は、谷口のりこ氏と土居一江氏の共著となっています。谷口のり子氏は、大阪大学を卒業し、リクルートを経て、中学受験、住宅、音楽、経済関連など幅広い分野でインタビュー記事や単行本を執筆しています。映画・ドラマのシナリオも手掛けているようです。フリーライターとして活躍されている方です。

 

土居一江氏は、子育て支援の会「アドラーフェライン横浜」の代表です。もともと中学校の保健体育の教師でしたが、アドラー心理学と出会い、教育方針を変えたそう。現在は「アドラーフェライン横浜」で心理学を使った子育て・生き方を伝えています。

 

 

書籍の概要

価格

1300円(定価)に消費税

 

ページ分量

269ページ。軽めの紙で文字も比較的大きく、通勤時に持ち歩いても苦にならない重さです。表紙にはイラストが描かれています。ブックカバーがあったほうがいいかもしれません。

 

文体

ですます調です。会話を中心としたストーリー構成になっており、最後に「まとめ」が来ます。

 

写真やイラスト/図解

イラストがたまに挿絵のように差し込まれています。ただ、多くはありませんので、イラストとセットで理解するようなストーリーではありません。また、図や写真はありません。

 

 

章立て

章立ては以下のようになっています。

  • プロローグ
  • 第1章:思ったこと、言っていいの!?
  • 第2章:ハッキリと断れない!
  • 第3章:『苦手な人』『嫌いな人』がいる……。
  • 第4章:起こる上司を何とかして!
  • 第5章:子どもだって、大人だって仲間になりたい!
  • 第6章:ステキな彼と出会いたい!
  • 第7章:やりたいこと、あります!
  • エピローグ

内容要約

それでは内容をご紹介します。ここではネタバレも含みますが、ビジネス書の場合には、自分に役立つかどうかを判断して購入するものと考えています。買ってから自分にとっては期待外れにならないようにするために、紹介しますね。今回ストーリーは紹介しませんので、本を読んでみてください。

 

メインキャラクター

静香:主人公。言いたいことが言えない女性

おばあちゃん:同居することになるおばあちゃんで、大学でアドラー心理学を教えていた。彼女が静香の指南してくれるストーリー

よし子ちゃん:静香の同僚で、アドラー心理学を体で実践しているような人

 

1)他人が自分のことをどう思うかは、相手の課題である。自分の課題ではない

人は自分が思うほど、他人の考えを気にしていません。実際に自分がどう思われているだろうと考える時間はあっても、自分が特定の他人のことについて突き詰めて考える時間ってそんなにないですよね。それこそ自意識過剰というもの。

相手が自分のことをどう思うかは、相手の課題(他者の課題)です。自分の価値観とは違うから気にしても仕方がありません。ましてや介入しないほうがよいです。何か仕事を振られたとしても、その仕事を振った側に課題があり、無理難題を言っているなら課題を切り分けて捉え、断るという選択肢もあります。

自分がどうしたいかをはっきり伝え、相手がどう思うかは自分の問題ではないと切り分けることが大切とのことです。

 

2)自由を得るためには、嫌われる勇気が必要

「嫌われる勇気」という本は有名ですが、まさにアドラーの教えの本。誰からも嫌われたくないと思っている限り、本当の自由は手に入りません。嫌われる勇気をもってこそ、自由に自分のしたいことを貫けます。ちなみに、他人の夢に人はさほど興味はありません。

 

2)トラウマは存在しない。トラウマを原因とせず、目的論で行動するのがアドラー心理学

トラウマに対しては諸説あるようですが、アドラー心理学ではトラウマを肯定していません。両親が離婚したことをトラウマに、結婚に夢が持てないのだとすると、親が離婚した人はすべて幸せな結婚ができないことになってしまうからという論拠です。

トラウマを肯定する考え方を原因論とするなら、アドラー心理学では目的論が特徴。何かしら目的がありその行動をとっているはずという考え方です。たとえば会議で思ったことを発現できないのは子どものころに恥ずかしい思いをしたからではなく、自分が黙っていれば問題が起こさないという目的をもっているから。

幼い頃に形成された価値観は変えることが可能。その場合は記憶を呼び覚まして解釈する早期回想が有効です。

 

3)嫌いな人、苦手な人は本来持っている力(強み)を見つける

見方を変えれば、短所も長所に見えることがあります。実は、苦手な人んも中に自分自身を見ていることがあります。これは自分が本当はしたいけど自制していることを堂々としている人や、自分がこだわっていることを侵している人です。

 

4)怒る人の真の目的を考えてみよう

怒る人には実は期待値があり(言ってくれよという話だが)、それを超えられなかったために怒るなど、隠れた目的があるケースがあります。早めに報告するのが回避するコツです。部下には褒めたり、叱ったりするのは上から目線の縦の関係です。感謝を伝えて対等な横の関係になることが大切。「どうしたの?」というコミュニケーションが有効です。

 

5)全体に貢献し、全体の一部だと実感する「共同体感覚」が最終目標

自分が誰かの役に立っていることで、共同体感覚が得られます。勇気づけとは自分は仲間であり、その人に能力があると思わせることです。

 

6)劣等感は自分の理想に達してないと感じるときの主観

劣等感があることは目標があることの証でもあります。悪いことではなく、それをバネに頑張れたらいいということです。

 

 

個人的感想

 個人的おすすめ度:★★★☆☆

主人公のような性格の人は、日本の企業においてはむしろ重宝されてきたことが多いのではないでしょうか。正直なところ、私も部下や同僚にこういう人がいると楽だなと思いますし、自分自身も主人公と同じようなタイプだと思います。しかし、仕事の頼みやすさから重宝されたとしても、企業において、主人公のようなキャラクターは今後貢献しにくくなるのではないかと思います。差別化とは最もかけ離れた人物だからです。

 

日本の教育上、個性を褒めて伸ばすような教育はされていません。「出る杭は打たれる」ということわざは日本独自のものです。今でもみんなと違うことは教育上よい形で受け止められず、協調性や“空気を読むこと”が重視されます。企業も同様です。そこに苦しさを感じる人が多いからこそ、日本でアドラー心理学が流行ったのだと思います。みんなと違う発言をポジティブに受け止められることが当たり前になれたらと願います。

 

 

2015年に発行された本ですが、ストーリーについてはなぜか若干の古臭さも感じます。主人公の「〇〇するわ」という言葉遣いや、空回りしているような昭和のギャグによるものでしょうか。

 

とはいえ、ストーリーがあるからこそ、アドラー本の中では理解がしやすく、すぐに使える本なのではないでしょうか。同じような悩みを抱えていない人が読んでも、響かないかもしれませんが、断れない人、人間関係に悩んでいる人などぴったり当てはまる人がいると、すぐに使える内容になりそうです。

 

ただ、今絶版のようなので、中古などで探してみると見つかるかもしれません。興味あればぜひ手に取って見てみてください。

 

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